暗殺者

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どんなに善人であっても一皮剥がせば…人間は醜い。 Jはそれを今まで見てきた。 暗殺者という仕事柄か…欲のために人を殺めようとする者達を間近で見続けていた。 それでも何も言わず…ただ金の為だけに使える… (…俺も…同じだな…) 組織に拾われて暗殺者として仕込まれた。 まだ若いが…Jは闇の中でしか生きていなかった。 いや、生きてなどいない…死んでないだけだ。 『小僧、我々にその能力を使え。さすれば…お前を生かしてやる』 まだ幼い少年はその手を掴んだ…生き抜くために。 Jはそれから感情を無くし、心を閉ざした。 暗殺者として生まれ変わっる為に… 「J、どうした?」 小柄な少年が怪訝そうな顔でJを見ている。 まだ穢れをしらない…無垢な王子にJは無表情で答える。 「…無闇に私に近付かぬように…」 「でも…何か考え事してるみたいだから…」 「…貴殿には無関係故に…」 「…そう…」 王子は淋しそうな顔をした。 子供は素直で…純真無垢だ…自分のように穢れる必要はない。 Jは冷たい眼差しを向けると踵を返した。 …深い繋がりなど…必要ない… そんなモノ…どうせいつか朽ちて消えるのだ… Jは幼い頃に目の前で家族を殺された。 そのせいで人と深く付き合えないでいる。 最も…暗殺者であるのだから深い繋がりを持たない方がいいのであろう。
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