第一話 姫と教育係

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「こんな状態で教師を続けるほど、わたくしの神経は太くありませんわ。 もともと王室教師などやりたくありませんの! 命令されて仕方なく教えて頂けなのですから、辞めさせて頂きます」 マリベーラはそう吐き捨てると、作法室の扉を乱暴に開いた。 「後日で良いので正式な辞表を私宛に提出して下さい。 受理後、あなたの残った荷物を自宅に送らせて頂きます」 「どうぞ、ご勝手に」 そう言い残して、マリベーラはヒールの音を響かせながら去っていった。 「これでよろしいですか、姫様?」 「・・・あ、バレてた?」 「もちろん」 ルッツはにっこりと笑う。 「さきほど気にされていましたからね。 姫様から首にすれば彼女は今後、職を失う。 そうさせないためには自ら王宮教師を辞める必要がある。 正当な理由で辞めた場合なら、咎められる事もありませんからね。 彼女の場合、うまく正当理由を辞表に書くでしょう。 しかし、もしああ言って本当に教師を続けたらどうする気なんですか?」 「それならそれで良いかなっと思って。 体罰さえなければ私、彼女は教師として一流だと思うわ」 「器が大きいと言うか・・・素直ですね、本当に」 呆れたような、それでいて優しい瞳でルイディアナを見ながらルッツは微笑んだ。 「さて、とりあえず医療室に行きましょうか。 さきほど侍女達に聞いたら、最近ずっとお一人で入浴されているそうですね。 どうやら足の傷以外にも今までの傷があるみたいですから、この機会にきっちり診てもらいましょう」 「はい」 ルイディアナの足を気遣いながら、ルッツは姫と一緒に医療室へと向かった。
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