第二話 姫と専属医

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「たっく、どこのどいつだ。 うちの可愛い姫さんにこんな事をしたヤツぁ!」 医療室で、白衣に似合わぬ無精髭をはやした男が、ルイディアナの腕についた沢山の痣を見て声を荒げる。 「先月雇ったばかりの作法の教師ですよ。 まあもう辞めましたが」 付き添いのルッツが王室専属医であるザックスに説明する。 「あたりまえだ!生徒に怪我させなきゃ物も教えれんような教師は辞めちまえ!」 乱暴な言葉をはきながら、ルイディアナの手当は優しく丁寧にほどこす。 「でも、そこまで悪い先生じゃないの!ただちょっと私が物覚えが悪いせいでこうなっただけで・・・」 「姫さんも姫さんだ。 痛いなら痛いとちゃんと主張しろ! 怪我を放っておくと、とんでもない事にだってなりかねんからな!」 「うう、はい」 しみる消毒液を足の傷にぬられながら、姫は素直にうなづく。 「さて、腕や足以外はもうないか?」 「・・・」 ザックスの質問に即答せず黙り込むルイディアナ。 「あるみたいだな。どこだ?」 沈黙が答えとなり、ザックスは眉をひそめる。 「背中と・・・お腹」 言いにくそうに小さな声でつぶやくルイディアナ。 それを聞いた瞬間、ザックスとルッツの顔は険しいものへと変わった。
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