お返しに

4/8
27人が本棚に入れています
本棚に追加
/46ページ
沖田 「そんなんだと、いつか僕みたいな男に騙されちゃうよ?貢がされてさ。」 何いってるんだよ僕は…。 そして何で笑ってられるんだよ君は…。 お雪 「私は沖田さんがそんな悪い人じゃないことくらい分かりますよ。本心で冷たくしてるわけじゃないことくらい…」 沖田 「君に僕の何がわかるの?何も分からないくせ… お雪「だ、だって私と同じだから…。」」 お雪は寂しそうに目を伏せて言葉を重ねてきた。 僕と同じ? 笑わせるなよ… お雪 「だって私も… 沖田「五月蝿いな!君は僕のどこが同じっていうのさ!」」 お雪 「…そうやって素直になれないところとか…かな。」 沖田 「素直?僕はいつだって、素直だけど…。」 お雪 「自分にたいして素直になれないところです。見ていて分かりますよ。」 沖田 「……。」 沖田は、言葉に詰まり生唾を飲み込んだ。 自分を見透かされているようで怖かった。 誰にも見せたことない動揺する姿を、この、お雪は意図も簡単に引き出してしまう。 そんな、お雪に少なからず新鮮さを感じずにはいられない、もう一人の沖田がそこにはいたのだ。
/46ページ

最初のコメントを投稿しよう!