プロローグ

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部屋に散らかるのは、アニメ雑誌や漫画の単行本の山。そして、テレビから繋がる配線はゲーム機のハードと、その横に置いてあるのはソフトの数々。 真っ暗な部屋の中で、一際光るテレビを見つめながら、青年は拳を握り締め、テレビの画面に向かい振りかぶる。ガシャンと音を立てて、テレビは床に落ち、側にあったゲーム機は、テレビの落下と共に壊れてしまった。 青年は、声も挙げずに、ただ静かに立ち上がると、今度は散らばる雑誌を手に取って、テレビに向かい投げつける。バサバサと音だけが空しく響いて、漸く音が止んだ時には、雑誌は全てテレビの上に散乱していた。 最後に、テレビを思い切り蹴飛ばし、青年は部屋を出た。テレビには、少しだけ青年の血液が付着していた。 綺麗に整ったリビングに、美しく輝くフローリング。 毎日ワックスが掛けてあるのだろう。太陽の光に床が反射して、部屋は尚も明るく輝いていた。 そんな部屋の中に、一人の女性。 部屋が整いすぎている所以もあって、女性の座っているソファーが一際大きく感じた。 女性がテレビから配線を伸ばしてやっているのは勿論ゲームで、女性は黙々と出された課題をクリアしていった。笑いもせず、怒りもせず、ただ淡々とやるその様は、まるで感情のないロボットのようである。 そんな機械的な行動をする女性は、人を近づけさせない雰囲気を漂わせ、今日もゲームに勤しんでいた。
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