0人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
―僕は想った。
もう一度、彼女の笑顔が見たいと・・・。
あの声を聴きたいと・・・―
この想いはこのまま、僕の心に傷を負わして。
それだけで、消えるはずだった。
・・・それなのに。
想いは・・・僕の力と
正体不明のアイツの陰謀で
そう・・・悲劇を招いた。
彼女を救うはずだった
僕の力は
ねじまがったモノへと変貌した。
あの時何が起きたのか、
僕は解らない。
無意識に発動させた力は僕の魂を喰らうかのように
僕を瀕死に追いやった。
視界の隅に
冷たくなりかけて
倒れているはずの彼女がいた。
淋しそうにほほえむ彼女に、
苦痛の中、手を伸ばした、が。
あと一ミリのところで
手は届くことなく、
そ
こ
で
僕の記憶が
途切れた。
―久遠 朝霧編
序章:切なる想いの果てに
最初のコメントを投稿しよう!