序章:切なる想いの果てに

3/7
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
早朝。 バルハード王国アベンシアス城五階の寝室。 「すぅ・・・すぅ・・・・・・」 まだまだ幼き王子、シャズ・ロティス・バルハードがその小さい体をさらに小さく丸め、 ベッドに沈めていた。 こないだ9歳の誕生日を迎えたばかり。 幼さと中性的な顔立ちにより、可愛らしさが寝顔にも濃く表れている。 「・・・・・・ん」 寝返りにより、 彼のふわふわとして癖の強い青髪が頬に掛かる。 人懐っこさを感じさせる碧眼は、未だ閉じられている。 そんな中。 「くぅ・・・」 彼の隣で別の寝息が発せられていた。 まるで鈴の音のような、涼やかな声だ。 シャズよりも小柄なその子は、 彼の腕を抱き枕のようにして寝ている。 彼と同じく青髪碧目だが、 多少彼より髪の色は弱い。青というより水色に近かった。 長い髪をベッドに垂らし、幸せそうにしている。 レスティア・ロティス・バルハード。 7歳である彼女は、シャズの妹だ。 二人共、窓から差し込む朝の陽射しを受けており ほのぼのとした雰囲気を全身から出している。 コンコン。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!