黒猫と笑顔屋

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僕は、泣いていた。 記憶の中に蔓延る、数々の後悔。 それらを省みて、泣いていた。 どれだけ泣いたか分からない。 目は腫れ、顔は赤くなり、もはや誰かに見せられるような顔では無くなっていた。 「どうせ、誰にも会わないからいいんだけどね……」 ひとりごちて、再び涙。 理由は分からない。 ただひたすら、泣いていた。 その時――涙で濡れたこの部屋に、ノックの音が響いた。 ■□■□■□■□ 僕には、中学時代からの絵描きという夢があった。 しかし、絵を学ぶ機会と環境が地元には無かった。 それでも、絵が好きだった僕は高校入学を機に独学で絵を描いた。 モデルは街並みだったり、たんほぽの綺麗な丘だったり。 風景を描くのが好きだった。 決して周囲からの評価は良いものではなかったが、ただ一人、僕の絵が好きだと言ってくれた人がいた。 そして、彼女と僕が恋仲になるのに、そう時間はかからなかった。 彼女は、強がりも愚痴も含めて僕を受け入れてくれた。 僕にとって彼女が 彼女にとって僕が 最初で最後の恋人であって欲しいと、何度も星に願った。 そんな僕に、転機が訪れた。
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