遠くへいってしまう前に

真理

真理は冷蔵庫を開けて中から野菜を取り出すと料理を始めた。

「昨日はオールだったし、ご飯も炊いてないから手抜きでいいやっと。」

そう言いながら、包丁を手にとる。

トントントントン

かなり手際よく野菜を切っていく。

真理は料理には自信があった。

小学生の物心がついた頃には自分一人で料理を始めていたのだ。

それも毎日。

飲み込みの早い子供のうちに始めて継続してきたのだ、そこら辺の主婦にさえ負ける気はしなかった。

真理は冷蔵庫に入っていた材料を使って焼きうどんと豚汁を作って食べた。

真理は食べ終わると手早く片付け、シャワーを浴びる。

真理は風呂場に持ち込んだ防水オーディオのスイッチを入れる。

真理は徹底的に無音を排除していた。

夜、寝る時でさえテレビをつけたまま寝る。

音楽では曲に集中してしまい寝付きが悪くなる。

テレビくらい聞き流せる方がちょうどいいのだ。