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「桜木君さあ、ちょっと時間ない？」
２月に入って二週間、朝から女子が浮き足立っているのはバレンタインだからだと気が付いたのは先程だ。女子テニス部の何人かが連れ立って教室に来て義理チョコと言って置いて行った。
チョコにも相手にも全く興味がないから食べ終わった弁当箱と一緒に鞄に適当に突っ込む。
そして、間髪入れずに今度は冬期講習で一緒だった山田がドアの前で手招きしていた。
億劫な気持ちで仕方なく立ち上がって廊下に出る。
山田と一緒に居るのは冬期講習で一緒だった奴だ。名前が思い出せない、誰だっけと考えながら、なに？とぶっきらぼうに聞く。
どうせチョコだろ、と視線も合わせずに山田の行動を待つ。
「チョコのお届け。」
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