はじめまして

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「お嬢様、お急ぎになられてください」 「もうすぐ終わる!」 鏡の前で髪をとかし、“お嬢様”と呼ばれているのは… 「結愛花様!」 「今行く!」 浪川財閥の一人娘、 浪川結愛花。(なみかわゆめか) 現役高校二年生。 「おまたせ高宮」 高宮と呼ばれる黒いスーツを着た男は軽い会釈をし、車の後方のドアを開けた。 「高宮、あなたには本当にお世話になったと思ってる。ありがとう」 「いえ、わたくしも結愛花お嬢様にお仕えさせてもらい、誠に嬉しい限りでございます」 「もうかたぐるしいっ!最後ぐらい気軽にしてよ」 高宮は結愛花の執事としての最後の日だった。 「お嬢様…、そういえば今日の夕方頃に、新しく結愛花様にお仕えする執事がやってきます」 「それならパパから聞いた。なんか頭よくてなんでもこなしちゃうすごい人みたいね…?」 「はい…、私も会ったのですが、容姿もきっとお嬢様は気に入られると思いますよ」 「ふーん」 「ふふっ、楽しみになられてください。お嬢様、それではいってらっしゃいませ。」 「はーい、いってくるね。あ!帰りは友達と帰るからいつもみたいに迎えはいらないよ」 「かしこまりました。」 「あ、高宮!」 「はい、なんでございましょう?」 「これ」 「これは…」 結愛花は高宮に時計を渡した。 「私からのほんの気持ち。もらって?」 「そんなっ…」 高宮は遠慮するが、そんな高宮を見て、結愛花は箱から出して高宮の腕につけた。 「はい!すっごく似合ってる」 「…ありがとうございます。大切に使わせていただきます。」 高宮は自分の腕にはめられた時計をみて、少し涙ぐんでいた。 「ふふふっ。じゃあいってきます。」 「いってらっしゃいませ、お嬢様」 そして結愛花は車に乗り込み学校へと向かった。
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