視線の先

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あれから3時間が経過しても、私はまだパソコンの画面と睨めっこしていた。 思った以上に数がある伝票に悪戦苦闘し、半分ぐらいしかその処理が終わってない。 あぁ、残業になるかな… そう思いながら黙々と作業を進めていると、 「お疲れ様。 それ、川崎がやってくれてるんだ… 急な頼みで、ホントゴメンね?」 営業部の東條さんが腕を組み、ドアに寄りかかりながら立っていた。 そこにいるだけで女が恋に落ちると噂の、超イケメン。 確かに、サラサラな黒髪や、意思の強さを感じさせる切れ長の瞳、 通った鼻筋や綺麗に結ばれた口元は、男を感じさせる魅力が詰まっている。 営業部と経理課は部署が違うのであんまり接点はないけれど、彼の人気ぶりはこの経理課でもかなり話題になっている程だった。
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