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終業のチャイムが鳴る。
私にとっては、スタートの合図のようなものだ。
教室の後ろ側のドアから誰よりも早く飛び出し、
特別校舎の廊下を、すれ違う教師に咎められない程度に足早に歩く。
やがて、渡り廊下に差し掛かり、
歩調を緩める。
背中全体の感覚を集中させて、
私はそれを待っている。
きっと、
きっと来てくれる。
やがて。
後ろから、小走りで彼が近付いて来る音がする。
私は今気が付いたかのように振り返る。
毎週金曜、
この瞬間、
私が彼を独占できる。
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