-Prologue-

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天装は戦火の耐えないあらゆる戦地に導入された。 その戦果は凄まじく、世界中でおきていた戦争は次々に終結し、世界は平和になるかに見えた。 しかしその一方で、戦争終結を望まない人間がいた、それは、戦争により利益を得ていた裏の人間たちだった。 その人間たちは自ら撒いた争いの火種を自ら拡大させていき、減りつつあった銃声も再び息を吹き返す。 そして今や天装の技術は全世界に伝染し、よもや戦争の表舞台に出てくるようになった。 それから数年、今や戦争がビジネス、戦争があっての世の中になったころ、 世界は二つに分かれていた。 「VARNA‐ヴァルナ‐」 「ENPEL-エンペル-」 この二つの組織が互いに対立し合い、人々を戦争経済に縋る世の中に変えてしまった。 しかし、世の人間たちはこれを認めるかの如く、今日(こんにち)も名誉と金の為に殺し合いを繰り返すのであった... 老若男女関係なく戦うことしか生きる術がなかった人間たちは、働けなくなった老人を見捨て、20歳未満の子供達を戦火の届かない地域の都市に厳重な監視の元隔離した。 もちろんそれは将来的に天使として戦わせる為の戦力保持の目的である。 しかしその反面、いずれ訪れる兵役義務の事実は極秘とされていた、そしてその配慮はせめて未成年の間だけでも人間らしい生き方をさせようという、大人達の勝手な罪滅ぼしでもあるのだった。 この都市は、世界から外れた地という意味をこめて「外界」と呼ばれ世界各地に存在した、外界にはその土地ごとにそれぞれ呼び名があり戦争孤児や新生児は全て外界で生活している。 ここに住んでいる子供達は殆どが両親を知らず、産みの親も出来る事といえば新生児に名前をつけてあげる事だけだった。 そして、ある外界「ユートピア」に一人の青年が住んでいた。 青年はこの戦争で母親を亡くし、父親は自らの妻を殺した兵器の創設者であり、兵器開発の科学者をしていた。 青年は母親を奪った戦争を心から憎み、戦争の早期終結を望んでいた。 そして、物語はこの青年から始まる...
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