プロローグ《イケニエ》

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「うぁあああああああああああああ!!」 人間のものとは思えない咆哮が辺りに響き渡る。 咆哮の主は、年端もいかぬ少年だった。 そして、少年の周りには死体が転がっている。 人の形を失った子供達の破片が転がっている。 そこは、少年一人の力で、地獄となっていた。 近くの山は崩れ、辺りには何も無い。 全てを破壊し尽くした少年は暴走する。 「これは…!どういうことだ?」 そこに現れたのは一人の男と、傍らに一人の少女。 「レヴァン!?」 少女は暴走する少年を見て叫ぶ。 男は少年の元に行こうとする少女を捕まえ、向き合った。 「リース、死にたくないならお前は逃げろ!ここは俺が押さえる!」 さぁ、行け! 男が必死な表情でリースに言い聞かせる。 リースは泣きそうな自分をこらえ、強く頷いた。 「いい子だ。お前ならファンダリアから逃げてもきっとやって行けるさ」 その言葉を最後に、男は少年…レヴァンに歩み寄っていく。 リースは後ろを振り返る事は無く、走り去って行った。 男に、異質な声が届く。 『贄を…生け贄を差し出せ…』 「…レヴァンの体にはやはり、こいつが…いいだろう。この命、差し出してやろうでは無いか」 男はレヴァンに歩み寄っていく。 どんどん近づいて、彼に触れる事ができるほどに近くに行く。 レヴァンは光を腕に纏い、その腕を男に突きだし、その力を食らおうとして… 「………っ!?」 彼は、目覚めた。
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