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「行っても行かなくても状況は変わんない。
あっちに任せた事だから…」
そう言い切った課長。
声からしたら…すごい硬い顔をしていそう。
「傍にいてやんなくて良いんすか?」
「良いよ。今行ったら怒られるから。」
平行線の話に業を煮やした成瀬さんは
「課長のそう言う所…ホントムカつきます。」
それだけ言ったら、また式場から出て行ってしまい、
課長は大きく一つ。ため息を吐きだしていた。
そして、その少し後で、照明が暗くなり、
神林さんのご両親への手紙を読み、
いつもきりっとしている神林さんが涙をこぼしたときに、
板谷さんは持っていたハンカチを手渡し、
神林さんの瞳を覗きこんで
「頑張れ。」って口パクで言っていた。
それにこくんと頷いた神林さんが、時折涙で詰まらせながらも最後まできちんと読み切ると、
盛大な拍手が起こり、
その後で…少し酔った板谷さんが白い便箋を開きながら、両親への感謝の気持ちを伝え、これからの決意を込めていつもよりも数段凛々しい姿を見せていた。
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