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「やっほっほー。いやはや奇遇だねぇ」
「いるって分かってる相手のところに来て会うのは奇遇とは言わない」
夏、七月、下旬。
初めて会ったあの日から、ミケはほぼ毎日俺のいる公園にやってきた。
――ミケ。
歳は俺と同じくらいの、少女である。
名前は知らない。
ミケ、というのは俺が勝手につけたあだ名だ。
毎日といっても、あれからまだ一週間も経っていないだろうか。
どうもこいつにあれこれ妨害されるせいか、一日がひどく長く感じるのだ。
教科書に没頭するよりずっと、ずっと。
そんな俺の表情が険しいものになったことなどまるで意に介さず、もしくはてんで気付かず、ミケは俺の隣に腰かけた。
相変わらず露出度の高いさっぱりした服装を纏い、一足先に夏休みを迎えて浮かれた女子高生そのものといった風貌。
といっても実際俺もミケも本格的な夏休みに入るのはこれからで、今は単純にお互い不登校なだけなのだが。
「今日は勉強しないの?」
「隣にあんたが居て、できるわけないでしょ」
「おっとー、ドキドキしちゃう?」
俺が漏らした不満を汲みもせずに投げ捨てて、にっこり笑いながら冗談をかましてくる。
いや、本気かもしれない。
言葉を額面通りにしか受け取らず、都合よく解釈する危険は大いにある。
――こいつは、この一週間でてんでダメな奴だということが分かった。
良くも悪くも適当なのだ。
その適当さに救われてしまったのを悔しく感じてしまうほどに。
しかしそれをどうこう言ったってどうにもならないから、言わない。
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