30日目 ─序章

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30日目 ─序章

無人島に漂流して30日、助けは来ない。 時折、船や飛行機が見えるが、すぐさま身を隠し、幸い近付いて来る様子もない。 彼らがどんな生態かは知らないが、文化は似通う所があるのだろう。 もしも私が、彼らに保護される事になったら… 意思疎通を図り、異文化交流を目的とし、帰郷の手助けをしてくれるかもしれないし、やはり、檻に入れられ生態実験やら解剖されるのかもしれない。 だが他星の生命体と接触することは国法でも禁じられている。 とはいえ浮かれ気分で宛てなく出た一人旅、壊れて地中へ埋もれた宇宙船を引き上げる術はない。 心配した親や友人が、途方なく広大な宇宙の数知れない星の小さな無人島を探し当てる可能性は0に等しい。 頼みの綱はたった一つ、救難信号だけ。 強力な電波に駆けつけるのは、この星の文明人が、はるかに早いだろう。 だがもう……………
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