プロローグ

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年を経た動物は、人を化かす。 そう言われている。 狐や狸に化かされた、なんて話は、それこそ日本中津々浦々にある。民話の類を掘り返してみてもキリが無い。 そして大物も数多い。 九尾の大妖狐なんぞはそれこそ超有名であるし、狸も隠神刑部という大物がいた。 明治頃までは、それこそ、狸が深夜に機関車に化けて走っていた、なんて話もあった。 それくらい、狐や狸の類が人を誑かした話には事欠かない。 そして、犬や猫だって、化ける。 それこそ『化け猫』という単語があるくらいだ。 尻尾が二つに分かれないようにと、あらかじめ短く切っておく習慣が存在する地域さえある。 猫又や火車など、猫の妖怪もまた多い。 少し趣を異にするが、『招き猫』なんて猫もいる。 そして、犬も決して化けない訳ではない。 創作物語の中ではあるが、化けた犬としては、『南総里見八犬伝』の『八房』が有名どころであろう。 それに、曲亭馬琴のそれの由来であろう、似たような話が、昔の説話集には収録されていたりする。 犬神、狗神と呼ばれる特殊な憑き物筋の家系もある。それも、詳しく調べれば、どこか禍々しさ漂う話である。
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