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宿舎にある露天風呂に浸かるオレ、キバ、ジークの三人。
そこに楽し気な会話は無く、険悪な雰囲気に包まれていた。
「なあ、カリヤ」
「……………」
「おーい、無視しないでくれよ」
「……………」
「すいません、ホントにすいません」
「……………」
「カリヤ君、ジーク君も反省してるようだし許してあげたら?」
「それはオレが決める事だ」
「頼むよカリヤ、許してくれよ。さっきは俺が悪かった」
「……………」
「完璧無視だね」
「うゥゥ……」
この状況をオレは楽しんでいた。
正直に言うとオレはもう既に許している。
それでも無視し続けているのはただジークをからかっているだけなのだ。
怒り狂ったオレはキバの説得のお陰でなんとか落ち着き、三人で壊れた家具を片付け宿舎の従業員に謝罪、そのあと風呂に直行し今に至る。
そろそろ良いかな……
ジークを無視し続け三〇分、この"遊び"も飽きてきた。
「ハァ……分かった。許すから、これから気を付けてくれよ」
「本当か!?」
「ああ」
ジークの表情に明るさが戻る。
重荷から解放されたようにジークは盛大に息を吐く。
「良かったァ~……もう絶交とかになったらどうしようかと思ったぜ」
「安心しろ。オレは絶交なんてしねぇよ」
「カリヤ……そうだよな、お前はそんな事しな―――」
「お前みたいな遊び道具が無いとつまらないからな」
ボソッと呟くように言うオレ。
「なあ、今なんつった? ねぇ、今遊び道具って聞こえたんだけど?」
「まままままさか、オレがそ、そんな事言うワケななな無いだろ?」
「待てやコラ、何故慌てる」
「ワー、ヨゾラガキレイダナー」
「話を逸らすな!!」
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