別れの時

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 元々サンタクロースというものを信じていなかった俺は一瞬言葉に詰まったけど、潤の期待に満ちた瞳を見て自然と笑みが零れる。 「サンタは良い子んとこしか行かねえから俺んとこには来ねえんだよな。潤は何お願いするんだ?」  俺はにっこり笑いながら問いかける。  潤は「秀人くん、悪い子なんだ?」と冗談っぽく笑った後で、「今年はクリスマスに発売するゲームソフトを貰うんだよ」と嬉々とした表情で教えてくれた。  その後も他愛ない話で盛り上がっていると、程なくして美咲や康を含む全員が集合してきて、二人も交えて話しながら学校へ向かう。  神奈川に行くことが正式に決まったからか、なんとなく美咲や康と話をするのが辛かった。 ――やっぱりこいつらと離れたくないな。祖母ちゃんちに住むって我が儘(わがまま)言えば良かった。祖母ちゃんは良いって言ってくれたんだし。  話をしていても身が入らず、そんなことばかり考えてしまう。  表面上はいつも通り取り繕っているつもりだけど、早く気持ちを切り替えないと気付かれるな、と思った俺は、その後なるべく考えないようにしていた。
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