繰り返す高校二年生

2/6
5人が本棚に入れています
本棚に追加
/129ページ
  俺達は二人そろって教室の外へ向かう。 彼女の名はシズカ。もう付き合って・・どのくらいになるのだろう。二年生の一学期の初め頃から俺と特別な関係の女の子だ。 「仲の良い事で! 今日も二人でデート?」  そんな俺達に冷やかすような顔で話しかけてくる茶髪の子。 シズカとは対照的で、髪の色とパーマ、そしてその口調や表情から活発な印象を与えるハルミだ。 こいつとは一年生の時からクラスが同じ、俗に言う腐れ縁である。 「なんだ? 仲間に入れて欲しいのか?」 「ばーか。そんな野暮ったいKY女子じゃないよ、私は!」  ハルミは顔の横で人差し指を振りながら、俺に向かって口を尖らしている。 「別に構わないのに。・・・なっ、シズカ」  俺が顔を見ると、シズカはすぐに目を伏せる。 どうしてか彼女はいつもこんな冗談を俺が言うと、ハルミに対して申し訳無さそうな表情をするのだ。 「え・・・マジで? いいの? ・・・なーんて! 言うと思ったか! 私だって誘ってくれる男の一人や二人・・・」  そう言いながらハルミは周りを見回す。しかし、近くにいた男子は全員目をすぐに逸らした。 「何よぉ! こんな美女が誘いを待っているって言うのに!」  ハルミは頬を膨らまして怒った様子だ。 そんなこいつに教室の隅に集まっていたグループからカラオケの誘いがかかる。すぐに、「ほーらね!」と言いながら俺に対して舌を見せた。  ハルミは正直言って、かなり可愛い。 さっき周りの男が目を逸らしたのは、おそらくそんなハルミを単騎で誘える豪傑では無いからだ。 実を言うと、俺も一年生の頃は少し惹かれている時期があった。 しかし、誰にでも気さくに話しかけ、明るいハルミをとても自分のものにする自信が無い。 「ばーか。ただの友達でしょ? それ以上無理!」 ・・・どうせそうなるに違いなかっただろう。 だけど、最近良く夢を見る。俺はハルミに告白してOKをもらうのだ。 そして付き合い、楽しい一年を過ごす。はっきりとは覚えてないが、かなりリアルな感覚や気持ちを伴う夢だと思う。 しかし、なぜか高校二年生の一年間でそれは終わり、三年生になった時の夢は見ないのだ。 三年生になりクラスが変わって俺は振られてしまうのか? それとも俺が現実に三年生になったら続きを見るのか?  ・・・それは春休みが終わってまた学校が始まれば分かるかもしれない。
/129ページ

最初のコメントを投稿しよう!