14457人が本棚に入れています
本棚に追加
/222ページ
―――――俺は何ということをしてしまった――あんな奴等死んで当然だ―――レキを守れなかった―――何でこんなことに―――嫌だ、一人になる――怖い、怖い怖い怖い怖い―――――!!!!
支離滅裂な思考が浮かんでは消えていく。体がカタカタと震え、血の気がざあっ、と引いていくのが分かった。
「嫌だ、嫌だ何で何で何で何で何で!!何でこんなことに、誰の、《誰のせい》―――――ッ!!?」
『教えてあげる。《彼奴》のせいだよ』
突如。ざらりとした耳障りの悪い声によって、滅茶苦茶な思考が捻り出した疑問に解答が与えられた。
「……あっ!?」
抱えていた頭はそのままに、腕と髪の隙間から斜め前を窺う。すると、そこにはいつぞやの影が存在していた。
『ごめんね、やっぱりこうなっちゃった……』
心底申し訳なさそうな声色で謝罪する影。だが、その言葉は今の俺には届かない。
「……彼奴、彼奴……のせい……彼奴の……」
与えられた《正答》に、俺の思考は埋め尽くされていく。そうだ、俺は答えを知っていたのではないか……
黒く、より黒く染まっていく思考。嫌だ、こんなことに囚われるのは……
心の片隅で、いつもの俺が微かな抵抗を試みる。しかし、上手くいかない。
『君が狂っちゃうのは、ぼくと彼奴の存在のせいなんだよ。ごめんね、ごめんね……でも』
一息分間が開き、次の瞬間。俺はふわりと影に抱きすくめられていた。
最初のコメントを投稿しよう!