第一章『始まりの日』

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 一日の終わりを告げる月が空に輝き始め、辺りはだんだんと暗闇となって行くと、辺りからは夕飯の支度のためにいい香りが漂い始める。 「姉ちゃんってほんと色気ねーよな」  夕食中に突然発した弟の言葉。  それをいつものようにさらりと流す。 「別にいいでしょ。玖裡(くうら)には関係ないし、突然何言いだすのよ」 「俺のこんな発言はいつものことだろ?」  ニヤリと笑ってごはんを口に運んだ。 「姉ちゃんがもうちょっと色気あればな~」  ふう、とため息をつく。そんな弟を横目に捉えながら、 「あればなによ?」  と、聞いてみた。
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