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「おら。大切に扱えよ」
意外にも風真はすんなりと刀を手渡した。
「あら? 随分素直ね。てっきりこれは命だ! 渡せるか! とでも騒ぎ出すかと思ったのに」
どうやらリディアもバレットと同じ考えを持っていたようだ。
「あん? 試合なんだから仕方ねぇだろ。前も試合の時は得物を預けて、代わりに木刀でやるこたぁあったからな」
どうやら風真も試合となると、素直に物事を受け入れられるようである。
「それでは会場入りは午後からとなりますので……」
それから簡単な説明を受け、一行は会場を後にした。試合まではまだ時間があるので、軽くでも食事を摂っておくかい? というフレアの言葉に勿論風真は賛同し、一緒に食事を摂ることとなった。
「あんちゃん!」
人混みでごった返す中、エンジとチヨンが近づいてきた。こんな人混みの中でも風真の姿を見つけられるとは、流石だねぇ、とバレットはハットのブリムを押し上げる。
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