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今日も会社では、コピー機が忙しく唸り、あちこちで電話が鳴り続け、近くの席の男性上司の大きな声が私の上を飛び越えていく。
耳から入る全ての声や音が、痛む頭の芯に響いてくる。
「これの在庫確認お願い。来月分と間違えないでよ」
手渡されたリストを手に、ぼんやりした頭でパソコンのキーボードを叩く。
(このまま治らないなら、来月には休みもらって病院へ行ってみよう…)
在庫の表を印刷し先輩に持って行くと、先輩の目つきが瞬時に変わり、パシッと紙を叩いて怒鳴られた。
「これは来月分でしょ。すぐやり直して!あなた最近たるんでるんじゃない?」
入社以来、仕事ぶりは高評価してもらっていたのに、ここ最近はつまらない凡ミスを重ねて評価を自ら下げてしまっている。
…このままじゃ駄目だ…どうにかしないと…
「明日、休みをいただいていいですか…?」
「はぁ?もう、勝手にすれば!」
先輩は苛立たしそうに足元を蹴ってクルリと椅子を回転させた。
私は席に戻ると、目の前の頭痛薬を手にとり、残っている薬全部取り出し傍に置いたベットボトルの水で押し込んだ。
ゴクンっと一気に言いようのない思いとともに飲み込み、空の薬の箱をしばらく見つめてから握りしめ、乱暴にゴミ箱に投げ黙々と仕事をやり直し始めた。
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