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ねえ……
もう、朝がやってきた。
(昨日も、眠れなかった…)
原因はわかっている。
連日…かれこれ一週間以上、おさまることを知らないかのように続く頭痛…
市販の頭痛薬は体質に合わないのかどれも効かず、次々に変えてはみるものの、効果が現れるものに巡り会えていない。
一階の食器棚の前には、毎日のように買ってきた何種類もの頭痛薬が置かれており、見かねて箱に並べてくれた母が『いいかげん、病院に行きなさいよ』と諭す言葉も頭痛のタネになっている。
私だって行けるものなら早くに行っているが、決算期の忙しいこの時期に、会社に入社1年目の自分はなかなか『休ませて下さい』なんて言えないでいる。
「お姉ちゃん、行ってくるね。大丈夫?まだ頭が痛いの治らないの?無理しないでね」
部屋の扉が開き、年の離れた小学生の妹が顔を覗かせた。
「う…ん。ありがとう。清子も気を付けて行きなさいよ」
「うん。お姉ちゃんもね」
頭を押さえる私に、小さな手を可愛らしく振りながら清子は笑って扉を閉めた。
「仕方ない…準備しよ…」
私は重く痛い頭とだるい体を何とか奮い立たせ、パジャマを脱ぎ着替え始めた。
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