廃人について

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俺の意見など聞かずにあっという間に理事長室まで連れてこられてしまった。ドアの前で先生が俺を降ろす。その隙を狙って逃げようとしたがニコニコした海斗先輩に手を掴まれてしまった。俺は仕方なく理事長室に入った。 「失礼します。河波を連れて来ました。」 相原先生が言うと同時に俺は海斗先輩に前に突き出された。見れば理事長室には先客が居た。ソファーに座っていたのは真新しい制服を着た生徒。その容姿に俺は絶句した。黒いモジャモジャした髪に厚い瓶底眼鏡。時代錯誤な生徒がいた。そいつは俺を見るなり興味津々に言った。 「お前が安里か!?俺暁月雪-アカツキ ユキ-!よろしくな!」 暁月と名乗ったそいつは俺の手を握ってぶんぶんと握手をする。それから促されるままにソファーに座った。俺は理解不能だった。何でわざわざドアを壊されてまでよろしくしに来なければいけないのか。そんな俺を悟ったのか理事長は申し訳なさそうに言う。 「すまない河波君。雪は今日転校して来た私の甥だ。それで君には雪と同室になってもらう。」 「…はい?」 「本来なら君は主席の為一人で部屋を使用していいのだが雪が転校して、部屋が足りないんだ。そこでクラスも同じで一人でいる君に同室になって欲しいんだ。」
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