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すっかり忘れていたが、荒れ果てているのは厨房も同じだという事を今更になって思い出した。
何か調理を…と思い厨房に入ったは良いが酷い有様で、至る所に蜘蛛の巣が張り巡らされ埃を被りあまりに汚過ぎる。
「…こりゃ暫くは使えねぇな……」
ここまで汚いともう使えない。
仕方無しに俺は厨房を出て一旦銀時の寝ている部屋に戻れば銀時はもう起きていて、綺麗な深紅の瞳でこちらを見ている。
「銀時、少し出るから留守番頼んだぞ…」
追われる身の銀時を買い出しで外へ出すのは危険過ぎる為、不本意だが俺が外へ出るより他に無い。
銀時が何を好んで食べるのかはまだわからないが、血が甘く濃厚だったからきっと食生活は基本的に甘い食事が殆どだったのだろう。
兎にも角にも俺は若い青年の姿のままウォークインクローゼットを開き中からスーツを取り出し着替え、少しの金を持って屋敷を出て屋敷に外からの侵入者を防ぐ呪文を掛けた後、ここから歩いて30分程の場所にある小さな町へ向かった。
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