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校舎を後にする詩音の耳に入って来る女性の泣き声。
まるでこの世の全てに絶望したかのように大声を発し続けるその声は、学校周囲の住民にも聞こえていたらしく「な、なんだ!?」「お化け!?幽霊さん!?」「フラグだぁぁぁぁぁぁ!!!!」などの声がちらほらと聞こえる。
そんな夜道を悠々と歩きながら、実はずっと首に掛けていた看板を投げ捨てながら詩音はずっと含み笑いを続けながらスーパーへと向かう。
「ククククッ!……あぁ腹痛い……一応『お礼』として買っておかないとね」
電話で伝えられた買い物を済ませなければ今度は電話自体に出てもらえないかもしれない。
それではこれから先の楽しみが半減してしまうため、ある程度は機嫌を取っておかなくてはならない。
「はぁ~……楽しかったなぁ……」
自分の性格がねじ曲がっていることは自覚している。
恐らく恐面のお兄さんが教室にいたらイジメられる毎日が来ていたに違いない。
しかし性格は直せない。
直したいとも思えない。
これが湯浅詩音。
これが口だけ男の日常なのだから。
「えっと……卵に味噌に……あれ?なんだったっけ?……あぁ薄口醤油だった」
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