見当違い

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そう言えばあのあと準一郎さんからもとさんが「行かせてやればよかった」と呟いていたと聞かされたけど…。 あの笑顔を明日も見られるなら,心を鬼にして…という心境…。 きっと行かせる判断をするよりも辛いだろうことはわかってる。 そして私はまた同じ分岐点に立った。 今度は傍観者ではない。 私が選択者だ。 だけどね。 総司の優先すべきものが自身より近藤さんであるように… 私の優先すべきものは…当然一つだ。 私に私の守るべきものがある以上,何があっても進まねばならない。 「関口さん?」 私が物思いにふけっていると南部さんが首を傾げる。 真っ直ぐに彼を捕え私は姿勢を正した。 「総隊長…否副長付の人間として言います。」 「…はい。」 心を鬼にして… 「せめて此度の戦には出てもらわねば困ります。彼が欠けることは勝敗を変えることと言ってもいい。」 「………。」 「彼を前線から退かせることは,何があろうと認めません。何としてでも持たせる方法を共に考えてください。」 私は迷わず総司の命を削る方を選択する。
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