第1章 彼の背中

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私は少し改まって笛吹主任に向き直った。 「主任、短い間でしたけどいろいろありがとうございました」 「おい、それは今日の仕事を終えてからいう台詞だろ?」 主任は照れた顔を隠さずに頭を掻いている。 感情が表情に出る人。 ちょっぴり羨ましい、なんて思う。 「そうでしたね。今日も一日お願いします」 私は頭をぺこりと下げた。 「で」 「はい?」 「試用期間も終わるし、今日どう?打ち上げってことで」 「主任、それは今日が終わってからの台詞じゃ?」 私は笑いを堪えながら主任にOKの返事をした。 .
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