第1章 彼の背中

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着替えを終えて始めてフロアへ足を踏み入れる。 「おはようございます」 誰にいうでもなく挨拶をして。 加賀谷主任のデスクを通り過ぎて課長に挨拶をしてから一番奥の1係へ。 私のデスクは壁際でフロア全体が見渡せる位置にある。 もちろん加賀谷主任の背中も…。 席に着くとすでに笛吹主任が仕事をしていた。 「おはようございます」 「おはよう、高久さん」 隣のデスクの笛吹主任に向けてにっこりと営業スマイルを送る。 「今日も早いね。感心感心」 「私、朝は強いんです」 1係主任の笛吹誠(ウスイマコト)は新人指導を任されていて、この春新入社員となった私を担当。 優しく指導をしてくれていた。 その指導も今日で期限を終える。 いわゆる新人の試用期間が終わり、ようやく正社員扱いになるということで。 .
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