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親の都合―――と言えばいいのか。
海外転勤になった父親についていった母親。息子であった俺も付いていくように言われたけれど、行きたくないと拒んだのは俺。
自分で言うのは何だが、人よりは成績優秀な方だ。
けれど、それは学校で習う勉強であって、外国語なんて「英語」しかできない。
転勤先:フランス
英語でもないじゃないか!!
言葉を覚える面倒くささ――と言うのは言わなかったが、日本をどのくらい愛しているかを嘘ながら永遠に語ったら、全寮制に入れられました。
いや、別にいいのよ?
金を出すのは親、出してもらっているのは息子。我儘言っているから全寮制に入れと言われても文句は言わない。
例え男子校でも。
青春潰しても。
だが、文句は親にはないが、ここにある訳だ。
写真を撮るのが趣味な、容姿平凡ちょっと勉強できる高校3年。
俺、菊池紀明。
只今、会長様親衛隊所属三年突入―――。
不本意すぎる。
「菊池君、聞いてる?」
「聞いていますが何か」
「何かって、君会長様の親衛隊長の意味わかってる?総隊長って言っていいんだよ」
可愛らしいと言うより、綺麗な男子、峰岸玲に文句を言われるのは何回だろう。
毎日だな。
「何故、俺が親衛隊長になったのでしょうか」
「先輩達からの信頼を勝ち取ったからでしょ!」
勝ち取ってねぇ……。
卒業していった先輩達は、可愛い綺麗可憐勢ぞろいだった。別に嫌われる事もなく好かれる事もなく過ごしていたし。
「あのさ、今からでも遅くないから志筑君に頼もうよ」
「なんでよ。志筑君だって君を推薦してるし無理」
「えぇ…」
志筑君とは会長の従者と言われている、会長の家の執事らしい。同い年だけど。会長の右手。
そんな人がいるならその人でいいじゃん。
何でダメ。
何で、俺。
意味不明である。
「はぁ…峰岸、こっち向いて」
「な、なに」
パシャッと写真を撮る。
「何勝手にっ」
「いや、このシチュ萌えるなーって。空と俺を覗いてくる君、的な」
漫画、アニメ、ゲームなどで美少女が主人公を見つけてやるような。
あ、俺今寝転んでます。
「ばっ!!…も、萌えるって…」
「うん、萌える
とても高く売れそう」
「……――――っ!!」
バキっと頭を蹴られた。とても痛い。
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