鎖と碇

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雨が降り始めた。この雨はしばらくふり止むことはないだろう。今は梅雨だ。6月の夕方頃、ある男が通りを一人走りながら何かを抱えている。カバンのようだ。カバンをひっしと片腕で抱えながら走る男のような影の後、雷に照らされ、ある女の体が横たわっていた。 第一話 通りすがりのシスター 「この前もいったでしょ、このあたりにはそんな店無いって」ある女の電話が廊下に響いている。ここは横浜。ある日の夏が近づく頃、横浜署の廊下で一人の女が電話の声を響かしていた。「なんでそんな服欲しがるのよ~、私そういうのホラーみたいで無理なんだって、だからね・・あぁ~もう!」電話は切れたようだ。ICカードに名前が書かれている。もちろん社員として横浜署にいるのであろう。彼女は『小林あわ』という名前であった。あわはその後、部署に向かいスタスタと歩いていった。
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