《1》

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  三十過ぎてから、初めての失恋をした。 彼女を思うとまるで学生の頃のように胸がときめいて。 ほんの少し触れるだけで、緊張と興奮が体中を駆け巡った。 だけど、僕の恋心は、淡く散った。 彼女が、好きだった。 間違いなく、好きだった。 彼女を好きだという気持ちに諦めをぶつけたら、 僕の心は何かが大きく欠けてしまったような気がする。 二度と恋なんてしない、とは言わないけれど。 また恋が出来る日が来るとも、思えなかった。 .
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