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その幼い女の子はパンツ姿だった。
今時は下履きのことをズボンとは言わずパンツと言うみたいだけど、この場合のパンツは文字どおり下着のパンツだ。
やや大人びた印象のあるパンツ。布の面積こそ多いものの、ありふれたキャラ絵などはそこにはなく、細やかな装飾と繊細な色使い、何より独特の柔らかさがそこにはあった。
夢にまで見た幼女パンツ。けれど現実にはそんなものに見惚れられるわけもなく、僕の意識と視線はその持ち主へと“向けられた”。
普通の女の子だった。
決してパンツ姿で出歩くとは思えないくらいには、そう見えた。
十歳くらいだろうか。そろそろお洒落にも気がいきだし、そんな思いの下にあるであろう伸びかけの不揃いな黒髪。何故か少し腫れぼったい目。フードが可愛い薄ピンクのパーカー。
どこにでもいる子供に思えた。
だけど彼女はパンツ姿だった。住宅街の往来にある公園の真ん中で、パンツ姿だった。それだけが普通じゃなかった。
「…………」
彼女と目が合った。睨めつけるような目付きだった。僕は内心たじろぐ。見ていたことを知られたのが、恥ずかしくて、何より気まずかった。
すぐにこの場を立ち去ろうと、僕は歩みを速める。
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