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序、さぁさ皆さん御覧あれ。
花は散る為に咲く
同じく人も、
いつかは散る
散る為に咲く生なら、
私は何故、
この世に咲いて生まれてきたのだろうな……。
山道を渡り歩き、ある花を見る度、私はそう思う。
いつか散り逝く為に咲く花は、斯くも美しく咲き誇る。
今のこんな私を見たら、あの少女はどう思うだろうか。
かの少女は、私に『花の咲く意味』を教えてくれた。
かつての私は、道に咲く花など、目も向けなかった。
あの少女に会わなければ、今の私はここに無い。
私は、私の人生を変えてくれた少女の短い人生を奪ってしまった。
だからこそ、私は少女との約束を果たしに参る。
私は、名も無き一人の僧。
妖退治を生業とする一介の僧である。
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