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「手掛かりは?」 芙蓉失踪の一報を受けたフェンは直ぐに朔の元に訪れた。 「ない」 「明快やな」 勘は悪い方やないはずの俺をも欺くとはやってくれるやないか、とフェンは内心思う。 「……ん」 どんよりと沈む朔の頭の上にフェンはグラスを置いた。 「冷た……」 「あのお前に甘い芙蓉のことや……一個くらいヒント残してくれとうかも知れへんぞ?」 「どう、かな……」 「それか……あれか?優しいから何一つヒントは残していない?」 「後者の方が芙蓉の気質に合っている気がする」 低いトーンで答える朔はもう四方八方に芙蓉捜索の手を伸ばし終えた後だった。 「……潔癖なとこあるもんな。実際、なーんも足取り掴めてへんしな」 朔の前には数台のパソコンが並べられており、その画面はひっきりなしに切り替わっていた。 それを目で忙しなく追いながら朔は絞り出すような声で言う。 「探すよ……どんなことをしても」 「ん。てか、伶様は何か知らへんかったん?」 「相談するようなタイプでもないんですねぇ……芙蓉って」 しんみりと言う朔にフェンはそうやな、と頷く。
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