白陽学園腐レンズの会

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  逃げようとする灰谷さんを捕まえて、笑顔で問い掛けます。 「灰谷さんは、忘れてくれますよね?」 「や、あの――」 フイッとそらされる顔。 それを追って、灰谷さんの顔を覗き込みます。 何度かそらされて、その度に追いかけて―― それを何度か繰り返す内に、フッと灰谷さんが笑いだしました。 それにキョトンとすれば、笑いながら頭を撫でられて、 「あのな、氷城。そういう所が可愛いんだからな」 「?」 「そうやって首傾げる所も、可愛いんだ。猫みてぇで」 そう言って、優しい顔を向けられました。 そんな顔をされても、どんな反応をすればいいのか分かりません。 今度は私から視線をそらして、逃げるように考えます。 …可愛い、ですか。 確かに毛玉さんが首を傾げるのは、ギュッとしたくなるほど可愛いですが。 私、人間ですしね。 悩んでいると、灰谷さんはまた笑って頭を撫でてきます。 「ワリィけど、忘れてやれねぇよ。 さっきみてぇな可愛いことされて、忘れられる訳ねぇだろ」 そんな事を言われても――… 「…私は、恥ずかしいので忘れて欲しいのですが」 「あー、それはあれだ。 氷城も木陰の事可愛いって言ってたじゃねぇか」 「はい。それが何か?」 何か関係があるのかと問えば、灰谷さんは意地悪く笑いました。 「それ、木陰も恥ずかしいんじゃねぇの?」 「……なるほど」 要は、人の事は言えないだろう?と言いたい訳ですね。 これは納得するしかありません。  
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