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『ぁ…あ、はっ――ちょっ、』
「あ、間違えたでござる。此のひとつ後でござった」
「ちょっと待って下さい、先程のは――」
「此方でござった」
この人、私の話を聞く気がありませんね?
次の動画を表示して、直ぐに再生させています。
まぁ、いいでしょう。
先程の動画については、後で問いただすとして。
スマートフォンの画面に集中します。
今は此方が先です。
動画は私が起きた所から始まっていて――…
「っ!?」
「この時の氷城、可愛かったな」
「あなたが邪魔者でしたがね」
「邪魔なのはテメェだろうがっ!?」
「いいえ、邪魔なのはあなたです!!」
「――///」
動画が終わる頃には、頭上で喧嘩を始めた二人を止めにはいる余裕もなくなっていました。
あまりの恥ずかしさに顔を覆って座り込みます。
「総隊長殿、大丈夫でござるか?」
「…まさか、こんなに、恥ずかしい事をしていたとは――」
「そうでござるか?とても可愛かったでござるよ?」
「うっ///」
今は何を聞いても御世辞にしか聞こえません。
恥ずかしさに滲む涙が溢れないよう堪えて、そっと指の隙間から雲隠先輩の様子を窺います。
雲隠先輩は、ニコニコと楽しそうに笑っていました。
その笑顔を見ると、どうしても、からかっているとしか思えず。
「嘘つきは嫌いです」
「お、おっ腐…。
……ふ、不覚にもドキッとしてしまったでござるよ。一瞬、今ならタチになってもいいとか思ってしまったでござる……恐ろしい破壊力でござるな」
ブツブツ何かを呟きながら、顔をそらされてしまいました。
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