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「ま…かい?」
「はい」
嘘だ
なんて否定できなかった。
本当のことだってわかってしまったから。
「お分かりいただけませんか?」
小さく首をかしげたルビカ。
わかるわけない。
わかるわけないのに、私の心は違うことを思っていた。
"わかってるに決まってます"
「メモギール……」
ルビカが唱えた呪文のような言葉。
これを聞いた瞬間、私の頭の中に、さまざまな光景や言葉が流れ込んできた。
「これは、あなた様の失われた記憶です」
ルビカが言う。
私の……
失われた記憶…?
『ルビカッ!』
そう言ったのは、確かに私だった。
頭の中に次々と流れてくる記憶の数々。
『ルビカ?何か悩みがあるの?私に話してみなさいよ!』
そこにいるのは、確かに私。
でも、今より遥かに幼い。
ルビカも今よりも小さい。
でも確かに私たちだった。
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