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「でも、ほら。いつも一緒でしょう?」
ね、ちょっとしつこい。
「ええ、そうですね。あ、このマフラー、妻からのクリスマスプレゼントなんですよ」
さすが、篤志。営業口調で上手く矛先を変えたみたい。
「まぁ、奥様からの?家の人なんて、クリスマスそのものを忘れてるわ」
上手く矛先を変えられたみたいだけど、自分の誕生日にも結婚記念日にも何にもないと愚痴り出す奥様。
「あ、すみません。息子のオムツ替えないと」
そう告げて、さっさとその場を離れる足音が聞こえてきて、玄関の鍵が開いた。
「お帰りなさい」
篤志が“ただいま”と言う前に、声をかけた。
「ただいま、瑛里子」
大きな袋を置くと、篤志はいつものように私の唇に自分の唇を重ねる。
「和志、頼む」
篤志が靴を脱ぐ前に、片腕で抱いていた和志を受け取る。
キョトンと私を見つめる和志の頬に、
「お帰りなさい」
とキスをした。
「パパと2人のお出かけは、どうだった?」
例えグズッたとしても、篤志と一緒なら何も心配はない。
「機嫌、良かったぞ」
靴を脱いだ篤志が答える。
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