終章・契は言霊と共に

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「だけど、凄かったよ。君の叔父さんは。一体、どんな人生を歩んだらあんなに強くそして賢くなれるんだろうね。正直言って正体ばればれだったと思う。あえて泳がされていたような感じだよ」 「叔父……博人は陰陽師にとっては最重要ターゲットだったてわけか?」 「いーや、最近だね。目を付けられたのは。彼、色々な霊的な道具を所有してただろう? 最初はそれで目を付けられた。で、陰陽寮が調査をするうちに正体がわかっていったってところだね。詳しい事は俺は教えられていないけど」  その言葉を果たして信用していいものか悩む。なにしろ、今のいままで騙されていたのだから。一真だけでなく神社の殆どの人が。あの戦いで感じた葛藤はなんだったのか。……そう感じながらも心のどこかでは安心していた。霧乃が本気で殺しに掛かってきたのではないということ、自分達を裏切ったわけではないこと。もしもここで嘘をついていたとしても、それは多分一真達を傷つける為のものではない筈。 「わーったよ」 「あ、なんだ、その信じていない感じの声は!」  霧乃がおどけて言う。当たり前だ。信じていない風を装う位はいいだろう。 「破敵之剣は?」  傍にいれば勝手に話に入ってきそうなあの剣の声はどこにもない。一真の身を守り、共に戦ってくれたのだから、礼はきちんと言わないといけないと思う。 「あぁ、こいつ? ずっと黙ったままだよ。どうもしょぼくれてんな」  そう言って背後から取り出したのは古びた懐剣だ。 「天、どうしたんだ?」 「よぅ、少年」
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