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その時のカグラは……。
昨夜お師匠さまに指定されたポイントに到着し、狙撃の準備に取り掛かる。
「でもこんな遠くの場所から狙い撃てるかなぁ?」
肉眼でなんとか目標の装置を捕らえられる位置にいるのだが、お師匠さまの調べでは距離はおよそ3000mだそうだ。
私が確実に狙い撃てる距離は大体2000m強。それよりも長い距離は無論未経験だ。
(このあたりはちょっと薄気味悪いし人は来ないと思うけど……。)
他人の干渉が考えにくい以上今回は自分との戦いになりそうだね……。
お師匠さまからはいつ撃っても構わないと言われた。
(しっかり照準を定めて……。)
スコープから見える装置の弱そうなところに狙いを定めた。
しかしスコープから装置以外にあるものを見てしまった。
(あれは……グリード? 何あの格好? いやそれよりも……!)
変な格好をしたグリードが装置を守る零課の人々に銃口を突き付けられている!
それが冷静さを奪った。
(早く撃たないと……!)
引き金を引き、狙撃銃から弾が放たれる。
(……ダメ!)
焦りから狙った部分をわずかだが外した……。
だがスナイパーにはその失敗が命取りなのだ……。
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