かしかりモップ

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「今日から、おまえらは高校生として二年目だ」 「はーい、そうでーす」と言い返す生徒の中に、一人だけ一番目立たないようで目立つ、少年のような子がいた。 「仮屋、仮屋望」 「はーい、先生~」 「仮屋はスカートとズボン、どっちが好きなんだ」 「えーっと、夏はスカートの方が暑くないかもしれませーん」 「でもズボンでもスラックスもあるから暑くないぞ、よし、ズボンとスカート、2つとも用意しよう」 一年は、始まりと共にこう言われた。もうズボンの方が楽なのでズボンだけしか履いていないが、ズボンだ。女子でもズボンを選ぶ奴がやっぱり公立とかにもいるのだ。確かに少し少年のような体つきで、細いが少し体が大きく見える。『女子とウエスト、一緒な広さなのにね』とよく女子たちに言われるのだが。まあ、本人が気にする事ではないようだ。仮屋望はどうやらお気楽な性格なようだ。体育の時はトイレで着替えたり、水泳は無かったり、その分マラソンだったりするのだが、クラスにも馴染んでいるのが目に見えるくらい、むしろムードメーカーだ。
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