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「ギ……ギャァァァァァ!」
耳を劈く絶叫に、亜樹は「ひぃっ」と小さな悲鳴を上げる。
「か、鍵を掛けて!」
蒼井のその一言で、亜樹は震えながら扉を閉めて施錠し、確りとチェーンロックまで掛けた。直後、その場に蹲り、耳を塞いで嗚咽を漏らし始める。
無理もない。正直、俺だって胃の中の物を打ちまけてしまいそうだった。だが、それはまだ我慢だ。
──確認しなくては……。
これで終わりとは思えない。俺は大きく深呼吸すると、覗き穴から外の様子を窺う事にした。
息を殺し、そっと覗き込んだレンズの先。そこにあったのは、ただの肉塊……。先程まで歩き、この一週間憎まれ口を叩き続けてきた橋爪の残骸だけが、ゴミのように放置されていた。
そして、それを見下ろし、ケラケラと無邪気に笑う、幼い子供の姿をした異形の影。背中に純白の翼を生やし、頭上には金色の輝きを放つ光の輪が、その威を示す様に煌めいていた。
俺は思った。
──神が人類の味方であると、誰が決めたのだろうか?
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