これが、僕という人間だ。

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「あん?こんだけかよ?三万っつただろうが!」 ドグッ! 「がぁっ!」 今時いないようなギンギンの金髪にギョロっとした瞳、耳にはピアス、首には十字架の付いたチョーカーを巻いた鬼崎(きざき)の嘔吐しない程度に絶妙に加減された蹴りが深々と鳩尾に刺さり、僕は息が出来ずに地面に伏した。 「いつも言ってんだろ?お前は俺たちの奴隷だ。黙って俺たちの言うことを聞いてりゃいいんだよ。分かったかな?雪兎(ゆきうさぎ)ちゃん」 僕の名前を捻ったあだ名を嘲るように呼ぶと、取り巻きの二人がゲラゲラと下品な笑い声を上げる。正直耳触りだ。だけど、それを言葉にする余裕も勇気も僕にはない。やがて、鬼崎は僕の前にしゃがみ込むと、髪を掴んで引き上げた。 「明日は今日の分を合わせて五万だ。分かったな?」 「・・・・・・」 「分かったかって聞いてんだよ!」 ガッ! 「ぐっ!」 衝撃と共に目がチカチカする。口の何処かを切ったのか、血の味がする。 痛い。だけど、何処かそれも別のところで起きている事のように現実感がない。客観的というか、傍観者のように僕が殴られる僕を見ているようだ。
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