第三章

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結衣とメルアドを交換した日から1週間。   もしかしたら『5大美少女』の1人とあっさり仲良くなれるかも?と淡い期待を抱いていた遥の予想はあっさりと裏切られ、すれ違えば挨拶をする程度という地味な発展のみで留まっていた。   何故……と数日間落ち込んでいたが、よくよく考えればあっさり分かること。   あくまでも成宮結衣は遥のことを『恩人』としか見ておらず、『友達』とは全く見てはいない。   その証拠に休み時間に遥のクラスへ訪れるといったラブコメ展開は全く起こらず、更に他の『5大美少女』もお礼を伝えることを忘れているようであれから接触は全くない。   人生はそんなに甘くはないのである。   「はぁ……そりゃそうだよね……」   現実に打ちのめされた遥は現在母親に頼まれた晩ご飯の材料を買いにスーパーへと向かっていた。   帰宅した瞬間言われた為にまだ学生服のままである。   買って来る材料は……。   「鶏肉と焼き肉のタレとウインナーとキャベツとサラダ油とピーマン……今日は焼き肉かな?」   ちなみに豚肉ましてや牛肉を使えるほど荒井家は裕福ではないのです。   更に自転車も無いため徒歩でスーパーへ向かうしかない。   まぁ蓮にパシリとして使われるよりは万倍マシなので大した不満も持たずに歩いていると……。   「……ん?あれは……分かりやすいなぁ……」   遠目に見えるツインテール。   後ろ姿しか確認出来ないものの、彼女の放つオーラとでも言うべき存在感は目の悪い遥にもハッキリと分かる。   少し前の遥なら迷わず追い掛けて声を掛けるのだが、男心がズタズタに砕かれている今の遥にはどうするべきか少し戸惑ってしまう。   だってもう(勝手ではあるのだが)傷付きたくはないじゃないか。
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