後の祭

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平安時代の書物には、河童はすでに登場し、「遠野物語」で有名な岩手県遠野地方では明治頃まで河童が見られたと言います。 江戸時代には、合羽橋以外の下町でも多くの河童が見られたようです。 「置いてけぼり」の語源である、魚を多く釣ると「置いてけ~、置いてけ~」と恐ろしい声がする「置いてけ堀」は墨田区本所辺りの川の事だそうです。 それも河童の仕業だと考えられていました。 もし、本当に河童がいたのだとしたら、彼らはどこに行ってしまったのでしょう… 私は本編のとおり、川が澄んだ水に戻るのを、河童たちは何処かでひっそり待っている気がするのです。 70年代に生活排水を垂れ流し、魚が住めないどぶ川となった神田川に、浄水した水が流されるようになり、92年に始めての鮎の遡上が確認されました。 今では神田川のあちらこちらで鮎が確認されるほど、水質は改善されています。 私たちは、過ちに気づく脳と、反省する心と、改善する力を持っているのです。 少し前に「蛍が棲む渋谷…人が想像出来る事は、人は必ず実現出来る」というジュール・ヴェルヌの一節を借りたCMがありました。 江戸時代、幕府に献上されるほど蛍の名所だった渋谷。 本当に再び、蛍が飛び交う渋谷の未来が来るのかもしれません。 鮎と同じように、河童たちにも帰ってきて欲しいですね。
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